【特集日誌~進入編~】
2015.4.29
みなさんこんにちは。今回は4/9(木)にお届けした特集日誌の後編となっております。
ホワイトデーのお返しに悩む30代男子二人が、メガネ兄さんの案内を受けて辿り着いた先に彼らを待ち受けていたのは・・・
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「さぁ今から本物のおもてなしをアナタたちに教えて差し上げるわ。先ずは奥の座敷へお行きなさい」
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「・・・アナタは一体」
「何者なんですか?」
「アナタたち豚男におもてなしの心を授ける者よ」
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「この座敷は今、只の座敷ではないの。この空間は今、茶室となっているの」
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「ちょっと言ってる意味がわからないッスけれども」
「茶室って・・・座敷にプロジェクタースクリーンが下りてるだけだし」
「・・・全然おもてなってないわ。この豚足男たち。。。いい?これからアナタ達は、表千家流茶道を通じて”おもてなし”の心を知るのよ。この座敷は、これからの数時間アナタたちにとっての茶室となるの。スクリーンで仕切られているこちらと向こう側では、世界が違うものと捉えなさい」
「・・・なるほど、メガネ兄さんが僕らをココへ飛ばした意味がなんとなく理解できたッス!」
「そうだね正名くん!」
「やっと理解ができたようね・・・。それじゃぁ茶室へとお入りください」
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「じゃぁ僕からお先に」
「どうぞどうぞ」
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「おじゃましまーーーーーーーーーす!!」
「コンチワーーーーーーーーース!!」
「ネギシッ!!!」
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「なにするんスか!こんなシバキ、京都で宮大工修行をしていたとき以来ッスよ!」
「正解の要素がまるでない入り方ね。これから正しい茶室への入り方を教えて差し上げるわ」
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「スッ・・・」
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「茶室に置いては、日常の立場を忘れ、誰も彼も同じ視点に立ってその空間を愉しむということが前提なの。その為に茶室の入口は狭くなっているの。この入口は躙口(にじりぐち)と呼ばれているの。「躙る」とは、正座のまま少しずつ膝で前に進むこと。躙口は高さが2尺2寸(約67cm)しかないので、このような体勢でないと中に入れないの」
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「ススッ・・・」
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「そうすると、自然と頭を下げた状態になって、身分とかもうどうだっていいやってことになるわけよ」
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「スススス・・・・」
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「実るほど・・・頭を垂れる・・・稲穂かな・・・」
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「シュッ」
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「茶室に入るところから、おもてなしの心のやりとりは始っているのよ・・・」
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「なるほど・・・躙口(にじりぐち)にはウォータースライダー感覚で突っ込んじゃいけないって事っスね!」
「そうだね!正名くん!」
「ゲジマユさんに至っては、全身で行ってたけれど、それは今日で最後にしなさい」
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「では・・・お座りください」
「それでは」
「お言葉に甘えて」
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「ハアァ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ♨」
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「いや~やっぱり木と畳の上って落ち着きますね~」
「そうだね!正名くん!!」
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ザクッ!
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「HOLY YES!!!!!」
「アナタの膝にはおもてなしの心がまるでないようね、教育的指導よ」
「写真では伝わらないと思いますので説明しますが、先生の扇子によって僕の膝軟骨は粉砕しました。それは想像を絶する激痛と衝撃を僕の人生にもたらしたと云えます」
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「茶室での基本姿勢は正座。正座をすることで精神が統一されるの」
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「これが基本よ」
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「さぁ・・・それでは姿勢を正して、先ずはお茶菓子をお召し上がりいただこうかしら」
「お茶菓子・・・!いいすね~!腹ペコッスよ!」
「ちょっとお菓子を食べてリラックスしたいよね~」
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「じゃぁ遠慮なく」
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「スッ・・・」
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「あ~~~~~~ん」
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「お言葉に甘えまして」
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「あ~~~~~~ん♡」
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ズンッ!!!
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「HOLY GOD!!!」
「アナタの口にはおもてなしの心が何一つ無いようね」
「写真では伝わらないと思うので説明しますが、先生の扇子によって僕の顎骨は砕かれました、これからご飯を食べるときには咀嚼をするのが難儀になりますが、いたしかないことをお伝えさせていただきます」
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「お茶菓子を頂くときには、茶会に同席した方々と近況報告などしないながら、交流を愉しむ時間でもあるの。ゲジマユさんや大工さんたちみたいに一息に食べてしまっては、折角の機会が勿体無いわ。こうやって、一口でいただけるくらいの大きさに切っていただきましょう」
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「ゲジマユ・・・?」
「僕は正名といいます」
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「一口ずつ丁寧に味わう・・・、ゆっくりとながれる時間を噛み締めるように・・・」
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「これが基本よ」
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「さぁお茶菓子をお召し上がりいただいたところで、次はいよいよお茶の時間です」
「いよいいよ来ましたね!」
「どんと来いですよ」
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【特集日誌~お茶編~】へ続く